ビームライン・実験装置制御システムの開発と維持・管理

放射光を試料に導くためのビームラインにはモノクロメータ、ミラー、スリットなどの様々な 光学要素が設置されています。 放射光を正確に試料に導くためには、これらのコンポーネントの位置や角度、 形状などを精密に操作しなければなりません。 通常これらの操作はステッピングモータと呼ばれるモータにより行われ、 パーソナルコンピュータにより制御されます。 また、検出器などからの信号の取り込みや処理などもパーソナルコンピュータなどにより行われます。 放射光を使った実験を効率良く行うためには、これらを統合的に容易に扱う事のできるシステムが必要です。 私たちは、C、C#、Visual Basic、Java、Perl、Pythonなど 様々なプログラミング言語を駆使して、また、電子回路などの技術も織り交ぜながら、 利用者のニーズに答えるべく日々「皆の役に立つ」システム作りを目指しています。

自分が作ったソフトウエアやハードウエアを皆に使ってもらえる。 そして、「このシステム使いやすいね。」などと言う言葉が聞けたら・・・、 それは技術者としてとても嬉しく、誇らしい瞬間です。 私たちは、そんな利用者の喜ぶ声が聞きたくて常に努力を続けています。 そして、使いやすい制御システムは、効率の良い放射光利用実験を支える大きなキーポイントになると 信じています。

制御システムの構築する際には、ソフトウエア開発の労力も含めたコストダウンや、 利用者が同様な手法でシステムにアクセスするためのインターフェースの共通化も重要なポイントとなります。 放射光科学研究施設ではビームライン制御システムの共通化が進められて来ており、現在も進行中です。 システムの共通化が進めば、これまでビームライン毎に行われてきたソフトウエア開発に対する労力の削減が期待できます。

システムの共通化で重要な位置を占めているのが、 STARSと呼ばれるソフトウエアです。 STARSはとてもシンプルかつ応用範囲の広いソフトウエアで、 放射光科学研究施設の技術職員の手で開発されました。 STARSは現在ビームラインの制御システムだけではなく、様々なシステムで利用されるとともに、 高エネルギー加速器研究機構以外での利用も広がっています。

ビームライン制御システム開発におけるソフトウエアの知識・技術は、 ビームライン関連だけでは無く、他の様々な場面へ応用可能で、 私たちは様々なシステムの開発にもチャレンジしています。 たとえば、実験室などの温度、湿度、その他センサーのモニタリングシステムなど、 そして日々の業務を効率良く行うためのWeb関連アプリケーション開発。 私たちは、常に新しいアイデアと努力で、少しでも最先端の研究を支えられるよう努力しています。