実験装置・測定器をはじめとする技術開発

放射光科学研究施設では、様々な技術開発が日々行われており、技術職員もその一翼を担っています。 技術開発は様々で、教員、研究員、技術系職員が一丸となって取り組む技術開発もあれば、 技術職員が中心となって開発を進めてゆく場合もあります。 開発が必要とされる分野は多岐にわたり、求められる知識も、機械分野、電気的分野、ソフトウエア分野など様々です。 現在の技術職員には、それぞれ違った得意分野があり、各自、自分たちの得意分野を生かして様々な開発プロジェクトに参加しています。 なお放射光科学研究施設には様々な分野の専門家がいて、指導を受ける事ができますので、 たとえ詳しくない分野でも「やる気」さえあれば、技術開発に参加可能です。

「自分たちの開発した技術が最先端の研究を支える」、これが私たちの技術開発に対する最大のモチベーションです。

放射光科学研究施設の技術職員は、施設を運営するための業務が優先となりますが、 放射光科学分野に役に立つものであれば、 開発プロジェクトに参加する事ができます。 また、更に放射光科学研究施設の支援だけではなく、競争的資金(文部科学省科学研究費助成金補助金など))の助成を受けて、 技術開発を行う職員もいます。 そして、「世界で誰もやっていない事をやりたい」などの夢を持ち、日々技術開発に取り組む技術職員もいます。

たとえば、放射光科学第二研究系の丹羽は、放射光を利用した実験手法の一種であるXAFSシステムに関する開発を行っています。 波長分散型XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)は入射するX線のエネルギーを変えながら、 物質による光の吸収の度合いを測定し、原子の周囲の局所的な構造や化学状態を調べる手法です。 彼はこの技術開発に関してH24年度 高エネルギー加速器研究機構 技術賞を受賞することが出来ました。 そして、現在も通常業務をこなしつつ、夢に向かって技術開発を続けています。

コストダウンや効率化を図るための技術開発は施設運営にとって大変重要なキーワードです。 放射光科学第一研究系の菊地は、放射光を実験資料まで導くビームライン等の真空保持に使用するための 低コストでかつ性能の良い非蒸発ゲッター(NEG)ポンプの開発を行っています。

NEGポンプは、油を全く使用しない、エネルギー消費が少ない、 10-10Paまで高い排気速度を保つ、 小型軽量などの特徴を持ち、超高真空ポンプとして使用されています。 この開発は放射光科学研究施設だけではなく、様々な場所で大変有用となっています。 現在も彼は、更なるコストダウン、保守性の向上や性能向上を目指して開発を進めています。